甲状腺の病気

橋本病(慢性甲状腺炎)

甲状腺の慢性の炎症のために、ある時期から甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。甲状腺機能低下症となっても、適切な量の甲状腺ホルモン薬を補充すれば代謝は正常に戻り、全く問題なく生活できます。

バセドウ病

必要以上の甲状腺ホルモンを造ってしまう疾患です。ストレスが発症の誘引となることが知られ、前述の甲状腺機能亢進症の症状が出現します。まず薬で治療して機能を正常化しますが、副作用の出現や調整が難しい場合は、手術治療やアイソトープ治療に変更します。

腺腫様甲状腺腫

増殖した甲状腺細胞が腫瘤を形成する状態(過形成)で、本当の腫瘍ではありません。1個から多数、数ミリから握り拳大まで、液体成分から細胞成分のものまで、多彩な様相を呈します。良性ですが、大きくなって美容面や圧迫感などの症状が問題となる場合は治療対象となります。

濾胞性腫瘍

甲状腺の腫瘍です。ほとんどは良性の腺腫ですが、ときに悪性の甲状腺濾胞癌のことがあります。手術標本の病理組織検査で最終的な良性悪性の診断がなされるため、細胞診による良性悪性の診断は困難です。悪性の可能性が示唆される場合は、手術治療をお勧めします。

甲状腺癌

甲状腺の悪性腫瘍です。90%以上を占める甲状腺乳頭癌と5%程度の甲状腺濾胞癌は、発育がゆっくりでおとなしいものです。ほかに甲状腺髄様癌、甲状腺原発悪性リンパ腫、甲状腺未分化癌があります。手術治療が基本ですが、状況により1cm未満の微小癌で増大しない場合は経過観察する場合もあります。

亜急性甲状腺炎

かぜ症状に引き続き、痛みのある甲状腺の腫脹が出現し、ときに甲状腺機能亢進症状、発熱、強い全身倦怠感も伴います。硬くごつごつと腫れるので、前医から癌が疑われて紹介されることもあります。特殊なものなので、専門医でないと診断が難しいこともあります。ステロイド治療で著明に症状が改善し、数ヶ月の治療が必要ですが、治癒します。ときにステロイドの減量中に再燃することもあります。

無痛性甲状腺炎

橋本病のある方に、一時的に強く炎症が起こる状態で、ストレス(出産、引っ越しなど)が引き金になります。甲状腺機能が3ヶ月ほど変動するのが特徴です。典型的な例では、約1ヶ月間は機能亢進となり、その後、約2ヶ月間は機能低下となって元の状態に戻ります。甲状腺機能亢進症状で受診された際に、経過と治療法がまるで異なることからバセドウ病との鑑別が重要です。

よくある相談については、北村医師のサイトで説明します